村の教会でのお葬式と無料ピアノコンサート

アルガルヴェの秋もずいぶん深まってきています。

マロニエの木の紅葉も美しいけど、この時期は、雨が多い季節。

11月4日、とても楽しみにしていた、Monchique のカトリック教会での、ピアノデュオコンサートに、夫と行ってきました。会場は、15世紀に建てられたという、Igreja Matriz de Monchique。

Monchique は、標高600メートルくらいの山間にあり、PH9. 8度の良質ミネラルウォーターの水源地としても有名な風光明媚なリゾート。モダンなスパホテルが少しだけあるようですが、いくつかの村も点在する、とても静かで素朴なエリアです。

「今日は、甥のウェディングがモンチークのパークレストランで開かれてるけど、雨降りださないか心配」と、ポルトガル人の友人が話していたけど、車で向かっているうちに、やっぱり、しとしと降りだし、傘を持参しなかったことを後悔。

コンサート会場の教会に着くと、入り口に、村人らしき初老の男性達が5,6人。しゃべりもせず、こちらをじっと見つめてくるから、敬意を示すために、ニコニコ笑顔を振りまいた私。

教会入り口で雨宿りしながら礼拝を待って

内部をのぞくと、礼拝をしている模様。「コンサートのぎりぎりまで礼拝しているだなんて、村の教会だから、ありえるのかな~。」なんて思いながら、寒さの中、入り口の外でずっと待っていると、突然、教会前に大きな車が止まり、バッグドアが開きました。コンサート後のピアノを運ぶための車かな、気が早いなぁ・・と思いきや、礼拝堂から、なんと、棺が運ばれてきて、びっくり!

教会入り口にいた村人達に笑顔を振りまきつつ、礼拝が終わるのを待っていた鈍感な私、ようやく、お葬式ミサだったことに気づきました・・。

教会の前には、雨の中、結構多くの人が故人の最後を見送るために集っていましたが、本当に鈍感な私、コンサート会場に入るのを待っている人達かと思っていて💦

墓場へ送り出される棺を乗せた車が発車するとともに、静寂の中、教会の鐘が、ゴーン、ゴーンと厳かに鳴り響きました。コンサートを待つ人々も一緒に、祈りをささげる瞬間・・

お葬式直後の礼拝堂で、コンサートは果たして、遂行されるのか・・と心配しつつ、中に入って待っていたら、端に置かれていたヤマハグランドピアノが、あっという間に中央に移動され、ほんの少しだけ遅れて、ピアノデュオコンサートがスタートしました。

ピアニストは、ロシア・シベリア出身のSvetlana BakushinaさんとJEFERSON DE MELLOさん(イタリア人かな?)

小寒い、雨音も響く礼拝堂内で、最初に演奏された曲が、シューベルトの幻想曲ヘ短調。

なんと、この曲は、享年31歳の短命だったシューベルトが、死ぬ年1828年に、自身の死を予感する中で作った曲。曲の出だしが、あたかも、死神が肩をたたいてくるような、ゆっくりした付点リズム「タッカ、タッカ」のリズムで始まるんです。
数あるクラシックピアノ連弾曲の中でも、最高峰のひとつと言われる、大変深い曲。
荘厳なお葬式の直後に、この曲が礼拝堂に響き、シューベルトの魂、死神までもが宿っているような、そんな感覚に襲われました。

続いて、演奏されたのが、ロシア作曲家、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、フランス作曲家、ラベルの小品、最後に、スペイン作曲家、アルベニス。シューベルトの短調で始まり、スペインの明るい太陽を感じさせる曲で〆。
お亡くなりになったカソリック教徒の村人さんが、天国で新しいハッピーな生活をスタートさせたような・・。

決して大きくはない礼拝堂だけど、アコースティックが、ピアノの響きにとても適していて、じっくりとピアノの音色を味わうことができたひとときでした。

このようなコンサートが無料で聴けるなんて、それも不思議な感覚・・。

ピアノ、また弾きたくなったけど、練習が嫌い・・今年は、ピアノの蓋を何回開けたかな💦

ピアノコンサート行くたびに、猛反省猿になる私です・・。

教会近くで出会ったハンサムな男性


4 thoughts on “村の教会でのお葬式と無料ピアノコンサート

  1. コンサートとかしてもお洒落ですね。
    私は、50代前半の女性です。
    PORTUGAL🇵🇹も移住先の候補に入っています。

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